「Teachme Bizの導入や推進で苦労したこと・工夫したこと」をテーマに、Teachme Bizの導入や運用について実際に導入を推進したご担当者様に深掘りする”ユーザー深堀りインタビュー”。
今回は、JR東日本グループとして首都圏を中心に複数のホテルブランドを持つ日本ホテル株式会社でJR東日本ホテルメッツの運営に携わる 村上 智紀様と比羅岡 さくら様にインタビューさせていただきました!
前編では導入推進時に工夫したこと、マニュアル作成時のヒントなどをお伺いしました。
後編では、Teachme Bizの運用開始後や本部と現場の連携による運用の浸透、トレーニング機能を使った研修など、活用のためのヒントをお伝えします。
※取材日:2021年 9月9日
- JR東日本ホテルメッツ本部 営業戦略グループ 業務支援センター
担当支配人
村上 智紀 様 - Teachme Biz導入当時は、JR東日本ホテルメッツの支配人としてTeachme Bizを利用したり、現場スタッフの育成に携わる立場だった。2020年11月より本部に異動し、Teachme Bizの運用推進をしている。
- JR東日本ホテルメッツ本部 営業戦略グループ 業務支援センター
比羅岡(ひらおか) さくら 様 - Teachme Biz導入当時は、現場スタッフとしてTeachme Bizを利用していた。2019年5月より本部に異動し、Teachme Bizを活用したマニュアル作成などの業務に関わっている。
最初は各ホテルでなかなか運用が進まなかった
ここからは、運用開始後のお話をお伺いできればと思います。 Teachme Bizの運用を開始した際は、各ホテルにどういった方法で「Teachme Bizを使い始めました」というお知らせをしたり、必要なアカウントの配布・使い方の説明をされたんですか?
当時私は現場側だったのですが、社内のグループウェアで、「Teachme Bizを導入します」と、アカウント情報がExcelファイルで共有され、現場でログインしていた覚えがあります。
そこまで現場の皆さんは、基本的にTeachme Bizのことを知らずに、一斉に「こういうツールを使い始めます」という連絡があったんですね。
はい、知らなかったですね。知らなかったですよね?
うん。
こういうの始まるんだ、みたいな感じでした。
そのときにTeachme Bizの使い方の資料が添付で届いて。ただ、当時はどうしても既存のマニュアルに頼りがちなところもありました。そういった経緯もあって、当時のメンバーが足を運んで現場に説明に来てくれたのかなと思います。
現場にマニュアルが流れ始めた頃は、正直なところ現場の中ではTeachme Bizが浸透していなくて。マニュアルの閲覧数があまり増えていませんでした。「このままだと使われないまま終わってしまう」と、運用開始して3ヶ月後に、全ホテルに出向いて、現場の利用者と話すことに決めました。
現場を巻き込み、運用が軌道に乗り始める
推進者の方がTeachme Bizの説明だけではなく、さまざまなコミュニケーションを取りに現場に出向いたとのことですが、どういったことを具体的にされていたんですか?
具体的には、新人にOJTをする副支配人やリーダーになる立場の人たちと話し合いをしました。内容としては、Teachme Bizの操作方法の説明や不安に思うこと、どのようなマニュアルが欲しいかを伺ったりしました。
そのときにホテルで使用していた宿泊システムのルールを統一したくて、24ヶ所ある全てのホテルに理解してもらえるよう、統一すべき内容に対しての現場の意見を聞いて、それをマニュアルにしていきました。
本部からの一方的な通達ではなく、現場の要望や不安な点を聞き、巻き込んでいったことがかなり大きそうですね。
そう思います。
比羅岡様がまだ現場にいらっしゃったときに、実際にTeachme Bizに対して何がご不安だったかって覚えていらっしゃいますか?
もともと各ホテルのルールが決まっていたところに、「Teachme Bizを導入したから全ホテルで同じことをやりましょう」という方針になってしまったので、いきなりやり方を変えるという抵抗はありました。
そういう抵抗感がある中で、実際に運用してみて改めて不安に思うことや、どうやったら使えるかという現場の意見をヒアリングしてもらったのが、現場の気持ちとしても安心できたんですね。
ヒアリングを行ってから現場全体の意識が少しずつ変わり始めました。スムーズにTeachme Bizを受け入れられているスタッフの方が多かったです。そのとき私はもう本部側だったので、「使ってほしい!」と思って回ってました。
操作方法だけでなく、導入の目的や背景まで説明をされていたのでしょうか。
そうですね、軽く導入の目的と、操作方法を説明して。あとはオペレーションで統一したい事項があったので、その内容について意見交換・集約してマニュアルに反映しました。
私はそのときは現場の立場だったので、細かいところで統一事項が決まるのはすごくありがたかったです。見れば安心というか、本当に日常業務の助けになるなと思っておりました。ただ、当時私は現場の支配人を務めていたんですが、マニュアル通りというよりも、臨機応変に動く部分もあったので……。当時は完全にマニュアル通りにやるのは無理だなと思う部分もありました。本部に来てからは、改めてマニュアルは重要だなと思いましたけど。(笑)
村上様が、ちょっと使ってみようかなと思ったターニングポイントは何でしたか。
やっぱり足を運んでTeachme Bizの導入目的などの説明をスタッフにしてくれたこともありますし、その上で決まったことについては基本的には準じようかな、と。「まずは使ってみるか」と思いました。あとは現場にいた頃に、支配人向けマニュアルの監修役に任命されたのですが、そこでTeachme Bizに触れる機会が増えたことも大きいです。
監修役の立場で関係者として参加して、より当事者意識のような「本部も現場も一緒にやっていこう」と意識に変わっていったんですね。
そうですね。Teachme Bizのマニュアルにしっかりとした情報が出ていたので、それを活用しない手はないと思いました。その中で、スタッフがフロントに立っているときに、空いている時間でTeachme Bizを開いて見ていたんです。新しいスタッフが入ってきたときに、初日はTeachme Bizを使って説明したり。
他にも、予約の入力の仕方を覚える段階で隣に置いてみたりと、日常的にスタッフ自身が活用する機会が増えていきました。そういった場面も見ていて、「使えるならどんどん使おう」という意識になっていきました。
その中でもさきほどの「臨機応変に対応しないといけない」とおっしゃっていたようなことが現場の皆さんにはありますよね。各ホテルで同じようにできるところと、ホテルの構造やスタッフの人員配置の関係でそれぞれのホテルごとで変わるところがあったり。
そういったマニュアル化できない部分もあると思いますが、各拠点でオペレーションを工夫しないといけない場合について、今はどう教育をされてるんですか?
社内のグループウェアを使って、各ホテルと我々のチームだけが直接やり取りしているスレッドで対応しています。現場のどこを見て、いかに判断・指示が出せるかは支配人の力の見せ所です。なので、やるべきことの共通事項は本部で落とし込んでいるTeachme Bizのオペレーションに準じてほしい。ただ、細かいところのアレンジは、支配人の資質と裁量によるものなのかな、とは思っております。
”マニュアルでガチガチに統一する”ではなく、必ず守ってほしい標準部分は本部で決めて、それぞれの拠点でオペレーションが変わるところは、支配人の方の裁量に任せて、柔軟に対応しているんですね。
ホテルによって若干のアレンジが必要になってくるところはあると思います。細部にわたってマニュアル化されてるという、”痒い所に手が届くもの”になるのが理想なんですが、現実問題そこまで届かないところもあります。ただベースだけはしっかり作ることは大事にしています。
Teachme Bizの契約更新時に稟議などあると思うのですが、決裁をされている上席の方が、効果を実感される部分はどのあたりになりますか。例えば社内のアンケートを取られたりとか。
社内アンケートは取っていないですが、スタッフ間で「Teachme Bizが使える」との話をよく聞きます。
今はJR東日本ホテルメッツだけではなくて、ホテルメトロポリタン系列のホテルでもTeachme Bizの導入を始めているところが増えています。共通マニュアルとしてTeachme Bizが本当にいいねっていう評判が広がって、それが上席の説得に繋がっていると思います。あとは多田さんから定期的に頂いているTeachme Bizの利用レポートですね。そこのマニュアルの閲覧ビュー数や、弊社の利用具合を担当支配人のミーティングの中で報告したり。そういったところを評価してもらっていると思っています。
現場の皆様の「分かりやすいです、使いやすいです、楽です」というお声が届いているんですね。
そうですね、あとは、導入初期の推進を担当していた当時のスタッフの頑張りですね。最初の頃に、かなり現場に来て説明してくれたりしましたので。そういった熱意が今に繋がっていると思います。
- 運用開始後の3ヶ月ほどはなかなか現場での利用が進まず
- 各ホテルを回って意見を反映したり、不安な点を吸い上げて、巻き込んでいった
- 標準部分のベースをマニュアルで標準化、細部は現場の判断でアレンジ
- 現場を巻き込んだ取り組みから評判に繋がった
いつでも閲覧できる環境と本部の工夫
各ホテルにタブレットなどの端末を何台配備されているのですか。
各ホテルの人数によって変わりますが、基本的にアカウントは各ホテル2つずつです。それでタブレットとPCブラウザの両方で使っています。
フロントでもマニュアルを見られるようにしてあるのですか?それとも従業員控室など、あまりお客さまの目につかないところで見る運用なのか、どちらでしょうか。
フロントでもお客さまが来ていない合間に、ちょっとしたことでマニュアルを確認したいときなどに使われています。お客さまがあまり来ない時間帯や新しい施策が始まったときにはよく見られています。
従業員控室など、お客さまの目につかないところでTeachme Bizを見る運用だと、「なかなか現場スタッフがマニュアルを見る暇がない」「控室まで見に行く余裕がない」ために、結果的にマニュアルを見る習慣が定着しない、という課題が出てくると聞きます。
御社は空いた時間を上手く活用できるが環境が整ってる点が良いですね。
はじめの頃は、一部のホテルからは見る時間がないっていう声はありました。
ですが、今はよく利用されているので、浸透してきたように思います。
タブレットは、Teachme Biz以外では何に利用されている端末なんですか。
QRコード決済の決済用の端末にもなっていて、そのアプリが入っています。
あとはムスリムの方のハラル対応のサイトを登録してある等、フロントでよく使うアプリが入っています。
マニュアルのフォルダはどのように分けられているんですか?
「フロント業務」や「スタートブック」「システム関連」等、大まかな業務内容で分けています。
運用開始から今に至るまでの、ターニングポイントはありましたか?
導入から1年目は、基本的なフロント業務のマニュアルを作成していました。日常業務のマニュアルということもあり、思ったほど活用されませんでしたが、導入から2年目に、新卒社員用のマニュアルを作成して、新卒社員研修で利用しました。その新卒社員が現場に入ったときに、率先してTeachme Bizを使ってくれたので、そこから他のスタッフもよりTeachme Bizを見るようになってくれました。
すごく面白いです。今まで使ってなかった既存社員の方も、現場に新しく来た新卒の方が使っているのを見て、ちょっと使ってみようかなという習慣ができていたんですね。
最初から若手の社員のほうが使用している率が高くて、中堅の社員や、すでに業務をたくさん覚えている社員が使っていないことが多かったです。
そこから平均してみんなが使ってくれるようになったな、と思えたのは2年目の途中くらいでした。
年間でどのくらいマニュアルを増やされたんですか。
100以上は多分作成していると思います。でもはじめの頃は一気に作成しすぎて、「こんなに見れない」という意見もありました。
その中で必ず見てほしいマニュアルの整理はされましたか。
しました。「監査などに関わる重要なマニュアルは必ず見てください」「それ以外の通常業務に関するマニュアルは、新しいスタッフが入ったときや不明点があったときに使用してください」と説明していました。
必ず見てほしいマニュアルは、どのように現場に周知したのでしょうか。
必ず確認してほしいマニュアルの一覧表を作成しました。その中にQRコードを貼り、「この表を事務所内に貼ってください」とグループウェアで依頼していました。
「必ず見てほしいマニュアルをどうやって現場のに伝えるか」で苦労されているユーザー様も多いので、すごく参考になります。
- アカウントは各ホテルに基本的に2つずつ
- フロントのカウンターで、いつでも閲覧可能。スキマ時間を活用できる
- Teachme Bizに慣れた新卒社員から中堅社員に活用が波及
- 必ず見てほしいマニュアルは表にしてQRコードと掲示
コロナ禍の新卒研修でトレーニング機能を活用
導入2年目の”新入社員向けのマニュアル”も、100本以上作られたんですか。
導入から2年目の新入社員向けマニュアルは20~30本ほど作成しました。その後、2021年度の新入社員研修でTeachme Bizのトレーニング機能を活用することになり、昨年の12月ぐらいからスケジュールを立てて3~4ヶ月くらいで作成しました。
何名でマニュアル作成などの準備をされたんですか。
3名ですね。研修担当のスタッフと、研修に必要なマニュアルを話し合い、リスト化して、3名で分担して作成しました。内容はその都度研修担当に確認しながら作成していきました。
マニュアルを1本作るごとに、フィードバックを随時もらって、一個一個作ったのですか。
はい、そうですね。研修で使うマニュアルだったので、ある程度形ができた状態で「こういう感じで問題ないですか」という確認をして、完成に向けて作っていきました。
Teachme Bizを使った新人研修の運用を開始するために、12月くらいから3月までの準備時間は業務の割合の中で何割くらい使ってましたか。
新人研修マニュアルの作成に携わっていたため、8割を占めていました。
その中でも、時間がかかったり苦労したところはどういうところでしたか。
その頃新型コロナウィルスの影響もあり、その対応もこのチームが行っていたため、その確認や作成も重なりバタバタしていました。
コロナのことも考えた上で研修内容も考えて、とか。
そうです。集合研修もできるかできないか分からない状態だったので、そこも配慮しながら作成していきました。
トレーニング機能を研修で活用していらっしゃいますが、トレーニングコースは何本配信されてるのですか。
今は4つ配信しています。新入社員が入ったときに3つを配信していて、1つ目が会社やJR東日本ホテルメッツについて知る入門コースです。2つ目が、基本的な業務の知識などを詰め込んだコース。3つ目が、接遇に関するマニュアルを載せたコースです。
追加で配信した4つ目が夜勤に関する業務のコースで、最近配信しました。今月の終わりか来月にさらにもう1つ、夜勤業務の上級者(責任者)編を追加する予定です。
順次コースを増やされていますが、もともとプランニングされたのか、進める中で随時検討していたか、どちらが近いですか。
最初にコース配信したときに、いずれは夜勤のコースやこういうのもあったほうがいいよね、という話はしていたので、構想の中にはありました。
実際に運用していて、トレーニング機能に対しての良いポイント・悪いポイントはありますか。
進捗をこちらで確認できるのはすごく良いなと思っています。ホテルによっては進捗が遅いこともあるのでそういうところは個別連絡するなどのサポートができていて、すごく活用しています。
新卒向けに配信されているのは、1人1アカウント配布して対応していらっしゃるんですか。それとも、拠点ごとにまとめて運用されているのでしょうか。
新入社員は1拠点に1~2名なので、個人アカウントではなくて、各ホテルごとのアカウントを自分のアカウントとして使ってもらっています。
トレーニングコースの受講時に「修了」ボタンをタッチするのはどなたなのでしょうか。
トレーナーが押しています。
拠点ごとに新卒の方の学習状況を把握できていて、修了の判断はトレーナーの方がされているんですね。逆に、研修におけるトレーニング機能の課題はありますか?
今年からトレーニング機能を使い始めて、本当に現場に合っているかどうかはまだヒアリングできていないので、これから確認していくべきだなと思っています。
まだ今年からですもんね。新卒の方が入られたときに、Teachme Bizの使い方はどう伝えているのですか。
新入社員研修で、Teachme Bizのマニュアルを見ながら研修していたり、実際に触ってみる時間も作っているので、そこで新入社員はTeachme Bizに触れています。
新入社員研修は、各拠点ごとでの開催ではなく、最初に集合研修する時間があるのですか。
そうです。今年も1ヶ月間くらい集合研修を行っています。
Teachme Bizベースで研修を組んでいて、新卒の方に改めて使い方を教える必要はないために、「あとは現場でTeachme Bizを活用して育成を進めるだけ」ということなんですね。
- 3~4ヶ月かけて、トレーニング機能を活用した新人研修を準備
- 新規で20~30本のマニュアルを作成しつつ、コロナ禍での研修を準備
- 新卒向けに4つのコースを配信して研修を行った
- トレーニング機能で各ホテルの研修進捗を本部が把握
- 各ホテルのトレーナーが、コース修了の判断をしている
最後に
他社の管理者様・推進者の方向けに、何か一言ずつお願いします。
マニュアルを作成する立場としては、自分たちの意見だけを盛り込んだマニュアルだと活用してもらえないと思うので、なるべく現場に寄り添って、実務をしてる人たちから意見をもらったり、コミュニケーションを取ったりしながら作成していったほうがいいマニュアルが作成できると思います。
やっぱり教えるのはスタッフなので、本部の判断でこれはいい、あれはいい、と一方的に決めるのではなくて、”現場の意見を聞いて、良い意見はどんどん取り込んでいく”柔軟なスタンスが大切だと思います。
今後の課題などは何かありますか。
マニュアルが浸透してきて、現場でもマニュアルを見よう、という習慣ができているのですが、逆にマニュアルがあるばっかりに「マニュアルに書いてなかったから、、、」ということが増えてきています。それをどう改善していくべきか、というところが1つの課題ですね。
なるほど、マニュアルが浸透しているからこその悩みですね。
そのあたりも他のユーザー様で上手く対応している事例がありましたら、記事として共有いたしますね。本日はありがとうございました!
ありがとうございました!
ありがとうございました!