今回の記事では、2022年7月27日(水)に開催されたTeachme Bizユーザー交流会のレポートvol.2をお届けいたします。
交流会では、株式会社オーティーエス(以下オーティーエス様)の井上様より、Teachme Bizの導入から活用、マニュアル浸透への取り組みについてお話いただきました。ここでは、その内容をご紹介します。
ファッション物流に関する一切の業務を行う。価格競争に陥らない独自の価値を確立し、お客様や世の中に必要とされ続ける会社、関わる人たちが幸せになる会社を目指し常識にとらわれず常に新しいことに挑戦しながら進んでいる。
お客様の想いに応える精神から業務プロセスが複雑に
(オーティーエスは、ファッション物流における一切の業務を行っている)
井上氏:
弊社には「おせっかい物流」という文化があります。弊社は、お客様から「こんなこと出来ない?」「これが出来たら助かる」などの想いを受けて創業しました。弊社からもお客様へ積極的な提案をしており、これらを総じて「おせっかい物流」と称しています。
お客様にインタビューした内容の一部をご紹介します。
「一言で言うと真面目な物流業者でとても便利です。ただ真面目すぎて業務の線引きが下手なんですよね。イレギュラー業務がいつの間にかレギュラー業務になっていることが多々あるけれども大丈夫なの?」
「贅沢な悩みですがオーティーエスは優しすぎます。何とか我々の要望に応えようとしてくださるのはありがたいのですが。」
これらの根本的な問題点はすでに解決していますが、「すべては顧客のために」という弊社に根付く精神により、良くも悪くも業務プロセスは複雑になりがちです。
そうした複雑な業務プロセスがTeachme Biz推進の障壁となることもありました。
今回「Teachme Biz導入から積極的活用へ」と立派なタイトルにしていますが、実は上手くいかないことの連続で今もなお課題が山積みです。
Teachme Biz導入の背景:
きっかけはマニュアル作りで悩む後輩社員からの相談
(2016年8月から粘り強く提案を続け、2018年5月にTeachme Biz導入に漕ぎ着ける)
井上氏:
Teachme Biz導入の検討のきっかけは、マニュアル作成で悩んでいる後輩社員から相談を受けたことでした。彼が一生懸命作ったパートさん向けマニュアルが「字が細かすぎて分からない」と一刀両断され、意気消沈していたのを見て、何とかしてあげたいと思いました。
実際マニュアルを確認したのですが、文字の大きさを少々大きくした程度で読みやすくなるような問題ではありませんでした。
とはいえ見る側に合わせ文字の大きさが異なるマニュアルを複数作成するのもナンセンスです。そこでパソコンやタブレットで拡大してもらうことで解決できるのではと調べ始めました。
そうした経緯で、2016年8月にインターネット検索でTeachme Bizを発見しました。
2年越しの提案からTeachme Biz導入決定
セミナーに参加し操作を体験して良さに気づき、解決案として担当社員とその上司に報告をしました。さらに、自身の上司にも提案しましたが、残念ながら見送りとなりました。
しかし提案活動を継続し、カイゼン委員会の活動内で紹介したときに、たまたまミーティングに出席した社長から好印象を得た感触がありました。その後も試行錯誤しながら粘り強く提案を続けたところ、2018年に導入する旨を急遽伝えられ、旗振り役に命じられました。
目的はカイゼンへの時間確保
(オーティーエスの「仕事の3ステップ」Teachme Bizの活用が有効と見込み導入)
Teachme Bizの導入はカイゼンへの時間確保が目的でした。
- 自分ができる
- 他人ができる・託せる
- カイゼンができる、案を出して実行する
という仕事の3ステップの考え方が弊社にはあります。
一緒に働く仲間に正しい作業や手順をスムーズに覚えてもらうことでチーム全体の負荷が軽くなり、効率化を目指せます。そのためにTeachme Bizの活用が有効である、カイゼンへの時間確保に繋がるといった目的で導入しました。
優良マニュアルの発表会で社内の理解を得る
Teachme Bizの初期アカウント数は40と、スモールスタートで始まりました。部門長に数人代表を選出してもらい操作方法を説明し、とあるお客様の委託業務を見据えたマニュアルを作成してもらいました。
その中から自信作をいくつか上げてもらい、投票形式で優良なマニュアルを決め発表会を行い、作成の苦労話やTeachme Bizへの感想などを発表してもらいました。
この発表会を満足いく形で終えることができたため、これをもってTeachme Bizを導入する旨を全社に周知いたしました。
順調にアカウントを増やし、作成マニュアル数は3950件へ
(導入アカウント数を計画的に増やし、身近に使ってもらう努力を行う)
翌年、60アカウントに増やし、主任中心にアカウントを持ってもらいました。なぜ主任かと言いますと先ほどの「他人ができる」のステップがちょうど主任に相当するからです。
そして2年後、さらに50アカウント増やし主任以下の社員がアカウントを持つことで、全正社員に身近に使ってもらえるようになりました。
CS委員会にマニュアル作成が課題として組み込まれ、今まで努力義務であったものが義務化されました。その結果マニュアルの増加もスピードアップし、現在はトータルで公開非公開を合わせて3950件まで増えました。
Teachme Biz浸透に向け試行錯誤を重ねている
全社での作成については、全社員に向け操作説明をしたり、フォルダ管理者の社員に使ってみるようアナウンスしたりしています。
マニュアルに使用する動画を撮影するために、頭部に付けて手元作業を映すウェアラブルカメラを購入したこともありました。ただ、残念ながら頭をかなり動かすらしく上手く撮れないという不評をかい、一台導入し失敗に終わるという経験もしています。
これまで重視していたポイントは、お客様ごとの委託業務マニュアルを中心にとにかく作成することでした。Teachme Bizの活用がCS委員会に組み込まれ、まずはとにかく作成することを重視して、クオリティは二の次三の次にしてしまっている状況が続いています。
そのため、最近はクオリティをどう担保するかが社内でも共通課題として取り上げられるようになっています。作る人の方から「クオリティは大丈夫なのか。これで本当に分かってもらえるマニュアルが作れているのか?」といった疑問が寄せられ、ようやくどう作れば良いかということが、話し合われる状況となっています。
また、マニュアルを閲覧できる環境の整備は試行錯誤中です。正社員/契約社員160名、パートが630名に対し、iPadの導入台数が43台と少なく、作ったものの、見る環境が整っていない状況です。
今後の展望:楽しんで使ってくれる社員をフォロー
井上氏:
今後の展望ですが積極的な活用事例のフォロー、CS委員会の活動サポート、着実な課題解決をやっていければと思っています。
パート向けの研修やQRコードの活用
積極的な活用事例のフォローとは、Teachme Bizを楽しんで使っている社員、実際仕事に活かしてみようとしている社員のためのフォローです。
例えば、以下のような取り組みをしています。
- 今まで社員向けのみの利用だったところを、積極的にパートさんにも使ってもらうため閲覧に特化した研修を行い、その中から希望者がいれば作成のための研修を一部実施。
- 掲示板の掲示物をあえてTeachme Bizに取り込み、閲覧を習慣化させるための努力。
- 物流システムの帳票にTeachme BizのQRコードを組み込み、印刷。複雑な指示内容に関してはiPadで閲覧できる形に。
- 伝票収納ケースの中の見出しにQRコードをセット、出荷先ごとに異なる記入方法や処理方法をiPadで閲覧できる環境を整えている方も。
- さまざまなスタイルでQRコードを掲示:壁に掲示、ラミネートしてリングでまとめる、マグネットを裏に貼り付けてホワイトボードなどで使用。
このように積極的にTeachme Bizを使ってもらう努力を社内でしています。これらを弊社のグループウェアを使い全社に情報共有したり、ピックアップしフォローもしています。
今後の課題は『共通のマニュアル』作成と環境改善、そして研修
たくさんの課題の中で、直近でやっていきたいと思っているのが『共通のマニュアル』作成です。特に総務経理人事あたりのマニュアル作成が遅れており、そちらのフォローが必要です。
また、先ほど申し上げました通りiPadが不足していますので、これも改善が必要です。
Teachme Bizにもどんどん新しい機能が追加されていますので、取りこぼしがないようにアップデートの研修をやっていきたいと思います。
質疑応答
質疑応答「どのように社内にツールを浸透させていったのか」
どのように社内にツールを浸透させていったのか、自身が社内の推進活動を行っており利用率を上げる方法を模索中です。
井上氏:
端的に言えば努力義務から義務化になったおかげです。会社が強制的に「これはやりなさい」と言ってからの方がやはり進みは早かったです。もともと弊社ではマニュアルを管理して維持・継続することへの優先順位というのはあまり高くありませんでした。
日々変動するお客様の要望にお答えしていくという状況の中、担当者の熟練度に頼りがちでマニュアルは最低限、ともすれば見て覚えろという考え方が根強く残っていました。そのため、なかなか重い腰を上げるというのは難しく、社長が業を煮やして指示を出したことから作成を開始しました。
質疑応答「マニュアル作成できる方はどのくらい増えたのか」
導入から現在に至るまで、マニュアルの作成ができる方はどれくらいまで増えたのでしょうか。また、Teachme Bizを使った作成について学ぶ時間を割いたりはしているのでしょうか。
井上氏:
アカウント自体は少しずつ増やしましたので、それに応じて使える人が徐々に増えていき、マニュアルのデータから作成者を集計したところ、約100名が1回は触ってみたという状況になっています。ちなみに100本以上作っている社員は8名で、100本以下50本以上の社員が20名となっています。
学ぶ時間に関しましては、適宜グループウェア上で「いろんな機能がありますよ」とか「こんな機能が増えましたよ」というアナウンスや、不定期にTeachme Bizの機能アップデート研修を実施しています。