
前編に引き続き、弊社スタディストの開発本部プロダクト部副部長の平山雷太、管理部ビジネスプロセスグループグループマネージャーの鈴木麻子、プロダクト部カスタマーサポートグループのさくらの3名による、「マニュアルの鮮度を保つ秘訣は?マニュアルの更新・管理の運用座談会」セッションのレポートをお届けします。
後編では、ビジネスサポートでのマニュアル更新・管理方法や、更新しやすいマニュアルにするための工夫についてご紹介します。聞き手は、カスタマーサクセス部の﨑村政海が務めます。
ビジネスサポートにおけるマニュアル更新・管理方法
定期的にマニュアルを棚卸しして、コメントで残しておいた内容を更新
﨑村:
では、ビジネスサポートではどんなマニュアルを扱っているのか、どのようにマニュアルを更新・管理しているのか、聞かせてください。
鈴木:
ビジネスサポートでは、4名体制でいわゆる営業事務のような仕事をしています。受注処理や更新管理、顧客情報の管理など、受注から解約までに発生する事務処理を担当しています。ビジネスサポートのマニュアルは、チーム内向けの業務マニュアルが主です。お金が絡み、特にミスができない業務ですので、3ヵ月に1回・年間4回とスケジュールを組んで、必ずマニュアルの棚卸しを実施しています。

鈴木:
棚卸しの流れとしては、まずCSVでマニュアルを一覧出力して、基準に沿って要・不要の仕分けを行います。もし不要となったら、リンクが繋がっているものを誤って削除しないようにリンク元をチェックします。必要なものは、更新に関するコメントが残っていればその内容を取り込んで残します。マニュアルはその場でパッと直せるときもあるのですが、急いでいるときなどは更新したい内容をコメントに残して、更新せずに置いておくこともありますので。
平山:
お客さまにもぜひ真似していただくとよいと思うのは、マニュアルをアーカイブする基準を決めていることです。マニュアルの管理はすごく慎重になってしまうので、「迷ったら残す」という判断をしがちだと思います。しかし、マニュアルが増えすぎると、普段探しにくくなってしまいます。「閲覧されていないものは積極的にアーカイブする」という運用を組んでいるのが、とてもいいポイントだと思います。
また、さきほどのカスタマーサポートとの違いは、コメント機能を使っている点ですね。マニュアルの改訂ポイントが出てきた際、まずはコメントで残して、定期的にそれをマニュアル本体に取り入れていくというサイクルを回しているのが、よく工夫できているところだと思います。
属人化しないよう、数ヵ月おきに担当者変更を行う

﨑村:
ビジネスサポートでのマニュアル管理について、さらに詳しく聞かせてください。
鈴木:
私たちのチームは属人化しないように、2~3ヵ月に1回、担当変更をしています。最初に担当した方が、まずひと通りマニュアルを見ながら作業してみて、気になったらコメントを残します。またマニュアル棚卸しのタイミングがやってくるので、その際にコメントの内容をきちんと取り込みます。そして次の担当者に変わると、その方がまた新しい目でマニュアルを実行していく……という形です。「マニュアルを育てている」という感覚でやっていますね。
﨑村:
カスタマーサポートのほうは、棚卸しやマニュアル更新のタイミングは決めているのですか?
さくら:
ビジネスサポートのように3ヵ月に1回という明確な決め方はしていないのですが、1年に1回くらいを目指して棚卸ししています。
﨑村:
カスタマーサポートでは、お客さま向けは優先順位をつけて随時更新し、逆に業務マニュアルはタイミングを設けず定常的に更新していましたね。ビジネスサポートのほうは、改訂ポイントに気付いたらできるだけ変更しつつ、難しい場合はコメントに残しておいて、棚卸しのタイミングで更新していると。マニュアル運用の違いが見えてきましたね。
日常的に使うからこそ、ブラッシュアップの機会が生まれる
更新しやすいマニュアルにするための工夫
﨑村:
マニュアルを更新しやすくするために、何か気を付けていることや工夫していることはありますか?
さくら:
更新した理由を残すようにしています。「どうしてその手順になったのか」「どうしてそういう運用をするようになったのか」という経緯が残っていないと、それを変えていいのか・いけないのかが分からないためです。また、きっちり作り込んでしまうと調整が難しくなってしまうので、できるだけ簡素に最低限の作り込みをするように意識しています。
鈴木:
似たようなマニュアルをあまり作らないようにすることですね。同じものを用意してしまうと、一度に両方直さないといけなくなるので、なるべくかぶることがないように普段から気を付けています。
マニュアルをどんどん活用し、改善点に気付く機会を増やす

平山:
冒頭でも「完璧な管理はなかなか難しい」という話をしました。それを踏まえて、2つのチームに共通していた、ぜひお客さまにもプロセスに取り入れていただきたいポイントが2点ございます。
1点目は、マニュアルの新規作成や更新のニーズを検知したタイミングで、まずは何らかの形で記録に残しておくことです。どうしても普段の業務で多忙な中ですと、「あとでやろう」と思って忘れてしまうことがあります。すぐにマニュアルに反映するのではなく、何らかの形で残して、確実に更新できるようにすることが1つのポイントだと思います。
もう1点は、定期的に棚卸しの機会を設けることです。普段からマニュアルを積極的に増やしたり変えたりしていく中で、どうしても重複分は出てきてしまいます。3ヵ月に1回や1年に1回など、定期的に棚卸しして、そこを解消できればいいと思います。
大前提として、マニュアルを普段から自分たちでどんどん使い、改善できる余地が表に出てくるような機会を増やすことが一番大事だと思います。たくさんマニュアルを使って、しっかりニーズを蓄積して、定期的にきれいにしていくというサイクルを組み込んでいただくとよいと思います。
﨑村:
日常的に使っているからこそ、気付きがあるんですね。日々使っているから、更新・管理のための運用が組まれますし、その運用によって「今はあと回しでもいいけど、タイミングが来たらきちんと更新しよう」といった動きができます。今回は私もとても参考になりました。皆さまも何かお持ち帰りいただいて、1つでも実行していただけることがあればと思います。皆さん、今日はありがとうございました。
鈴木・さくら・平山:
ありがとうございました!