
今回の記事では、2022年3月17日(木)に開催されたTeachme Bizユーザー交流会のレポートvol.3をお届けいたします。
交流会では、株式会社DS&Cの飯村氏・大野氏より、Teachme Bizを導入した経緯と社内への認知拡大と現状についてお話頂きました。ここでは、その内容をご紹介します。
2022年3月に創業70年を迎えた株式会社大伸社の管理部門から分社化したシェアードサービスカンパニー。東京と大阪の両本社制を採り、社員・サポートスタッフ合わせて18名の社員を抱える。グループの親会社である株式会社大伸社は、お酒のラベル印刷からスタートしているが、70年の歩みの中で展開する事業もマーケティング、リサーチ、Web制作、デジタルマーケティングなど多様化が進み、現在では株式会社DS&Cを含め6つの事業会社を展開中。株式会社DS&Cの主な事業内容は、グループ内の社員約250名を支える、シェアードサービス全般・人事・経理・総務・広報などの他、学会などの事務局業務、中小企業のデジタル化サポートなど。現在は、グループの外にも顧客を増やし成長を続けている。
問い合わせ業務の効率化を目指してTeachme Bizを導入
大野氏:
Teachme Biz導入前は、お問い合わせへの回答で他の業務が圧迫されていたことが課題でした。弊社はシェアードサービス*を担っているため、経理・総務・人事に関わる’さまざまなお問い合わせ対応をしています。
* シェアードサービス:グループ企業内の基幹業務を1か所に集約して標準化し、グループ全体の経営効率と体質強化を図る手法
その中で、当時よくいただいていたお問い合わせの背景には、以下のような問題がありました。

こうした問題を解決すれば、お問い合わせの回答で他業務に手が回らなくなることもなくなると考えました。
そのため、Teachme Bizを導入しました。
Teachme Biz導入により業務が整理され、改善すべき点が明確に
Teachme Bizを導入してからは、さまざまな場面で効果を感じています。
例えば、マニュアルを作ることによって自身の業務整理や把握が進み、ルールの分かりづらさやワークフローの不備などの問題点が見えるようになっていることです。

改善すべき点が明確になっているので、今後より良くなっていくと思います。
他にも、新システム導入時の説明に効果的で、問い合わせへの回答内容やレベルの統一化を図れる点にも満足しています。質問を受けたら回答とマニュアルURLを紹介することで、同じ質問を同じ人から受ける回数が減りつつあるのも、大きな効果です。
トーンダウンすることなく定着まで走り抜ける
大野氏:
:浸透定着に向けては、以下の方法を計画して実施しています。

ここからは、具体的な活動内容と私たちが注力したポイントについてご説明します。
- プロジェクトを強力に推進するチームを結成
- 一緒に制作・運営していくメンバーと協力体制を構築
- 役立つマニュアルを生み出すためのチェック体制
- 伝えるためのカテゴライズ分け
- サポートの積極的かつ全面的有効活用

1:プロジェクトを強力に推進するチームを結成
大野氏:
プロジェクトを推進するチームのメンバーは、私達ふくめた全4名です。推進チームが、マニュアルの全社公開までの全体スケジュールや各自のタスク設定、進捗管理を行っています。とにかく「Teachme Bizを使おう」と旗を振り続けてきました。
2:一緒に制作・運営していくメンバーと協力体制を構築
大野氏:
次に、実際にマニュアルを作ってくれるメンバーとの協力体制を構築しました。そのために、関与者全員でのキックオフミーティングを大々的に実施し、「誰が何をいつまでにやるのか」や、ミッションをきちんと説明をして、マニュアルを作ってくれるメンバーの理解を得るようにしました。
ただ、それだけではメンバーのモチベーションも上がらないので、マニュアルが完成することで得られるメリットを分かりやすく伝えるように工夫しています。モチベーションを上げてマニュアルを作れるように注力しました。
3:役立つマニュアルを生み出すためのチェック体制
大野氏:
マニュアル作成は、分かりやすくなるように徹底してこだわっています。作成者の視点だけでは、分かりやすいマニュアルにはならないと思っているので、推進メンバーのうち必ず2名で行うダブルチェック体制を構築しました。2名で見て、どちらかが少しでも分かりにくいなと思ったマニュアルは、容赦なく差し戻しています。
せっかく日常業務も対応する中で頑張って作ってくれたものですが、役立つマニュアルになっていないと意味がありません。メンバーへの愛を込めた差し戻しは、心を鬼にして実施しました。

4:伝えるためのカテゴライズ分け
大野氏:
作成したマニュアルは、ユーザーが目当てのマニュアルにたどり着きやすくなるようカテゴリー分けをしています。ユーザーの声も聞きながら、少しでも改善の余地がある場合は、推進チームで検討してカテゴリー分けを改善していくなど、柔軟に対応してきました。
また、ユーザーが「こんなマニュアルないかな」と検索したときに、できるだけヒット率を高められるように、タグづけもしています。タグは、作成メンバーと推進チームで、都度知恵を出し合いながら、すべてのマニュアルに対して実践していきました。
5:サポートの積極的かつ全面的有効活用
大野氏:
そして、最後のポイントがスタディストとの定例ミーティングを、徹底的に有効活用したことです。毎月のミーティングでは、その時点での課題や問題点、滞っているタスクを赤裸々に伝えて共有しました。そしてスタディストのアドバイスを参考に、「こうしてみよう」という宿題を自分たちに課して、次のミーティングまでに必ずクリアする。この繰り返しで着実に前進することができました。
このミーティングによって推進メンバーが、道半ばでトーンダウンすることなくゴールまできちんと走り抜けることができたと思っています。
程よいプレッシャーが推進を後押し
大野氏:
推進体制を作るうえで、社員を巻き込む際に効果的だったのはプレッシャーをかけたことだと思っています。
飯村氏:
ベテランの社員4名が推進役だったので、単純にちょっと怖かったのかもしれません(笑)。
大野氏:
推進メンバーそれぞれが、「同じことばかり聞かれる」「忙しいときに限って聞きに走ってくる」といった課題意識を持っていて、解決するためにTeachme Bizを導入しています。
「とにかく改善したい」という意識を持って臨んでいたので、怖い(笑)印象を持たれてしまうくらいのプレッシャーはかけたかもしれません。ただ、具体的にメリットを伝えて「じゃあやってみようかな」という気持ちになってもらうのと同じくらいのプレッシャーをかけることは、大事だと思っています。
先ほど愛のある差し戻しをしていたとお話しましたが、弊社では、MicrosoftのTeamsを使っているので、専用のチームを立ち上げて、マニュアルを作ったらどんどん投稿してもらっています。そのマニュアルを推進メンバーがチェックして意見を言うスタイルで、誰が作って今どういう状態にあるかが、全体に見えるようにしていました。
そのため「作らないといけない」という焦りから、優先順位を上げてマニュアル作成に取り掛かってくれたところもあると思います。これもプレッシャーの1つなのですが、効果はあったのかな、と推進メンバーでは考えています。
マニュアルを見てもらうため、Teachme Bizを「しらべモン」と命名
飯村氏:
せっかく作ったマニュアルをいかにみてもらうか、活用してもらうか、知ってもらうかのために、私たちが取り組んだ、工夫した点についてご紹介します。
まず、私たちはTeachme Bizにオリジナルの名前をつけました。推進メンバーでアイデアを出し合い、なじみやすい・覚えやすい・言いやすいネーミングを検討した結果が「しらべモン」です。大阪弁でしらべものを表す言葉しらべもんと、世界的に有名なキャラクターをイメージしたネーミングになります。せっかくなので、ロゴも制作しました。

まず「しらべモン」を知ってもらった
飯村氏:
「しらべモン」を知ってもらうため、まずは見つけやすい場所に入り口をたくさん設けました。具体的には、全社員が使うグループウェア(ガルーン)の中に「マニュアルボックスしらべモン」というコーナーを作っています。また、ポータルの中には「困ったときはしらべモン」といった内容のバナーも設置。しらべモンオープン時には全社メールで告知をしました。
今は、月に1度配信しているメルマガに、今月のおすすめマニュアルをURLと一緒に必ず掲載しています。日々発生する問い合わせ対応に関しても、口頭でもメールでも回答はしますが、その際に「しらべモンにも載ってるよ」「しらべモンの該当URL送るね」と、しらべモンの存在を日々アピールし続けています。

イベントの情報発信での活用が効果的だった
飯村氏:
いろいろ行ってきた施策の中でも特に効果を感じられたのは、全社員がかならず関わるイベントの情報発信に利用したことです。社員が関わる人事試験やPMSの教育などの告知、試験システムの使い方マニュアルなど、すべてしらべモンで公開しました。
また、新しくシステムを導入した際には、説明会の開催と合わせて動画つきの操作マニュアルをしらべモンで公開し、慣れるまでは何回でも確認できる体制も作っています。当社は昨年電子検収システムを導入しましたが、しらべモンのおかげで実際にシステムを日々使う営業部門、そしてその先のお得意先様にも混乱なく導入を案内、実施することができました。
こういった必ず利用する機会を無理なく作ったことが、しらべモンの閲覧・浸透にかなり効果的だったと感じています。

「しらべモン」を成長させ、社内の共通言語に育てたい
大野氏:
私たち推進メンバーが抱く今後の展望・希望は、以下の通りです。

しらべモンをもっともっと成長させ会社の中で認知度を上げて、しらべモンという共通言語を育てていきたいと考えています。
現在は、グループの中で弊社のみがアカウントを持っている状態です。Teachme Biz、つまり「しらべモン」の有用性と効果についてグループ全体に実感してもらえれば、全社員にアカウントを付与して、もっと違った使い方もできるのではと検討しています。例えば、研修に使うといった利用方法などです。実現できるように、今後も推進メンバーは、周りを巻き込みながら進んでいきたいと思っています。
飯村氏:
また、誰がマニュアルを見るとしても、初見で「見づらい」と思われたら、先を見てもらえないと思っているので、導入時から今も常に見やすいマニュアルを公開することを心がけています。
質疑応答
イベントではたくさんの質問がありました。その一部をご紹介します。
Q:特に浸透に役立ったマニュアルはありますか。内容によって浸透や活用の度合いは違うのでしょうか。
A:当社の場合、新しく採用したシステムの『利用者向けマニュアル』が一番浸透に役立ったと思います。システムの説明会のときにマニュアルも展開し「あのシステム」=「あそこにマニュアルがある」といった形で認知が広がりました。
新しく採用したシステムとは『電子検収』に係るシステムで、当社の営業メンバーが、得意先様に依頼する際に使うシステムです。営業メンバーも自分が把握しないことにはお客様に迷惑がかかるため、特にまじめに学んでくれる機会であったとは思います。
他には、人事試験システムの利用方法マニュアルも、見ないと試験を受けられないようにしているため、必ず見てもらえるようになっています。結果、浸透・認知度拡大に繋がりました。
Q:多くなったマニュアルの管理・更新を行うのは、マニュアルの作成者でしょうか。それとも管理者の方が対応されていますか。
A:基本的には作成者が自分の作ったマニュアルの管理をしています。公開前は、管理者である推進チームの4名が公開の可否も含め、内容をすべてチェックしています。Teachme Bizを使い始めてまだ日が浅いので、それほど更新が必要なマニュアルは出ていません。今後も、基本は作成者に管理・更新を託していく予定です。また、月に1回や半期に1回などのスパンで、棚卸も行っていくことも考えています。
Q:新人の方が最初にTeachme Bizを触る時の印象が非常に大事なポイントとなっているように思いました。工夫されている点や必ず案内していることがあれば教えてください。
A:マニュアルを開いたときの”ファーストビュー”を重要視し、常に見やすいマニュアルを作るようにしています。
Q:推進体制をつくるのは大変だったと思うのですが、体制を作るうえで「ここが響いた」「ここで共感してもらえた」など巻き込むときに効果的だったポイントがあれば教えてください。
A:推進メンバーが共通の問題意識を持っていたことが大きいと思います。そして"プレッシャーをかけること"も大切です。Teamsでもチームを作って、コミュニケーションも活発にしてプレッシャーをかけていってます。
Q:業務に必要な用語を定着させる工夫があれば教えてください。例えば、この言葉だと伝わりにくいな、というものをうまく見せる工夫などです。
A:「わからないことがあればこちら」という用語リストを作り、各マニュアルへのリンクを貼って確認しやすい形にしています。